3日目 タウシュベツ川橋梁に見惚れる
タウシュベツ川橋梁はぬかびら源泉郷の周辺に点在する旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群の中でも、特に代表的なコンクリートアーチ橋です。長さが130m・高さが約10mあり、北海道内で最長です。ダムの水が少ない1月頃から姿を現し、水位が上昇する5月頃から沈み始め、夏頃には再び湖底に沈みます。季節によってその姿が見え隠れすることから「幻の橋」とも呼ばれています。このような橋は日本中探してもここだけです。しかし年々崩壊が危ぶまれており、今回の旅で是非見ておきたいと思っていました。
タウシュベツ川橋梁は大雪山の山深い樹海の中、さらに国道から4kmの規制された砂利道の奥にあり、交通の便が悪いです。そのため橋を見る方法も以下の3つに限られています。
- タウシュベツ展望台から眺める
→ぬかびら源泉郷から層雲峡方面に8km進んだ地点にあります。駐車場から200mほど歩きますが、タウシュベツ川橋梁を750mほど離れた距離から手軽に見ることができます。
- NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターの有料ツアーを利用する
→ガイドが案内してくれるので初めての人でも安心です。季節ごとにツアーがあり、タウシュベツ川橋梁の様々な姿を見に行くことができます。ガイドの話を聞くと一層魅力が分かるでしょう。
- 道の駅かみしほろで林道ゲートの鍵を借りて、自家用車で行く
→今回僕らはこちらの方法を選びました。以下に詳しくご説明します。
タウシュベツ川橋梁に通ずる林道ゲートの鍵は事前にインターネットで予約のうえ、道の駅かみしほろで借り受けます。鍵は1日10組限定なので旅のスケジュールを立てて早めに予約をしました。
予約した当日に身分証明書(免許証・保険証等)を用意して道の駅かみしほろの窓口に行きます。注意事項の説明後に「林道ゲート通行鍵」が渡されます。受取時間は9:00〜14:00なのでご注意ください。鍵の受渡し時には維持管理等運営経費に充てられる協力金(1,000円/1名)が必要です。鍵は当日の16:30までに返却です。
また、キャンピングカーで行く人は林道を抜けるため、通行は不可能です。今回は上士幌交通ターミナルのカーシェアに乗換えました。24時間予約・利用可能で数時間単位で借りられ、価格も手頃です。ただし用意されている車は2台なので必ず予約しておきましょう。予約はオンラインの専用フォームがあります。
*予約&詳細はこちらから
上士幌交通ターミナル・カーシェアサービス
車を降り、ぬかるむ林道を抜けた先には念願のタウシュベツ川橋梁が見えました。嬉しさのあまり、旅仲間の3人全員が走り出していました。
昔の雑誌などの写真と見比べるとアーチ部分がボロボロと崩れ落ち、今にも崩壊しそうでした。全てのアーチが繋がった状態の今、ここに見に来られたことがとても嬉しかったです。
2時間ほど周辺で写真を撮ったり、観察していました。干上がった湖底にポツンと佇む、本来はあるはずがないダムの湖底に人工物がある光景が異質過ぎて、只々見惚れてしまいました。そして、いつしか崩れ去ってしまうのだろうと思うと残念でなりません。
数年前から訪問したいと思っていたので、今回それが叶ったことが何よりでした。
立ち寄りポイント②上士幌町鉄道資料館
国鉄士幌線の歴史資料が展示してありました。運転席から撮影された映像が上映されており、廃止されてる路線(帯広ー糠平)のものなのでとても見応えがありました。
上士幌鉄道資料館
立ち寄りポイント③旧幌加駅跡、十勝三股駅廃線探索
旧幌加駅跡は登録有形文化財に登録されているので、草が多少生い茂っているものの、難なく歩けるよう整備されています。レール、転轍機、ホーム共にきちんとあります。
一方で士幌線の終点、十勝三股駅は奥に線路が通っていたであろう跡と、半壊して立ち入り禁止になっていました。士幌線で働いていた人の詰所、駅名標が人家の傍に置いてあるだけで面影はあまりありません。鹿の群れがいるので、良い餌場になっているのでしょう。
旧幌加駅跡
4日目 『雨宮21号』にカメラを持つ手が震えた
旅行最終日は遠軽町丸瀬布まで足を伸ばしました。
その昔、この地域で木材の運搬に活躍した蒸気機関車「雨宮21号」。森林鉄道蒸気機関車の動態保存は全国でここだけです。森林を駆け抜ける姿を見たいと思い、少し距離はありますが「遠軽町丸瀬布森林公園いこいの森」を思い切って旅程に入れました。
『雨宮21号』は運行日が決まっているため、日程の確認が必要です。キャンプ場も家族連れに人気なので利用する場合は事前予約をおすすめします。
雨宮21号は小型ながらも沢山煙を吐き、堂々と走る姿は圧巻でした。森を抜けたところで待ち構え、奥から爆煙を吐きながら迫ってきた時は、カメラを持つ手が震える程でした。その時撮った写真は忘れられない一枚となりました。
鉄道好きの僕らが念願の地を訪れた今回の旅。キャンピングカーで語らいながら過ごした時間は忘れません。そして車掌になった目でもう一度この地を訪れたいです。
立ち寄りポイント④丸瀬布昆虫生態館
丸瀬布森林公園いこいの森の向かいにあります。一年を通して様々な昆虫を観察することができます。蝶が舞う温室や世界の昆虫も展示されており、こじんまりとした施設ながら見応え充分です。鉄道好き&昆虫好きには堪らない場所ですね。
3・4日目の立ち寄りスポットをマイマップにまとめてみました
今回の旅で利用したキャンピングカーはこちら